この事例の依頼主
80代以上 女性
相談前の状況
ご相談者様は、推定相続人として3人の子を持つ不動産賃貸業を営む女性です。ご相談者様の家系では先祖が代々後継者に不動産を相続させるというしきたりがあるため、後継者候補である長男に、先祖代々の不動産を相続させたい意向をお持ちでありました。しかし、子らの間ですでに将来の相続に関して話し合いが始まっており、子らの関係性が悪化していたことから、将来の相続の際に、遺言書を作成するとともに、作成した遺言書をめぐって紛争が起きないようにしたいと考えており、困り果てていたため、当事務所にご相談にいらっしゃられました。
解決への流れ
相談後、当事務所は直ちにご依頼者と遺言書作成に関する委任契約を締結し、ご依頼者様のご要望を実現するため、入念な聞き取りを行った上で、付言事項という遺言者がお子様らに対する気持ちを伝える文章を添えた詳細な遺言書の案文を作成して公証役場の公証人によって公正証書にしていただきました。また、公正証書作成の数時間前にご依頼者様が遺言したい内容を口頭で自由に述べている様子を撮影をして動画として保存して、ご相談者様に相続が発生した際に相続人が動画を見れるようにしておきました。
本件は、遺言書作成という典型的な事案でした。遺言は相続発生するまで放置されがちですが、相続発生後に相続人らによってその有効性が争われることが多々あります。将来の紛争予防という観点から遺言書作成することを考える場合、遺言を公正証書にすることのみならず、ビデオレターといった動画の形で、遺言を残することが大切です。遺言者は元気なうちに自分の財産の処分や相続人に対する気持ちを相続人らに伝えることができ、それを見た相続人らは、遺言の有効性のみならず、遺言者の意思を尊重していただきやすくなります。また、仮に遺言無効で争われたとしても、動画が証拠として採用されることで、早期に遺言に関する争いを解決することができます。なにより、今回の件では、遺言に関する紛争に明るい当事務所の弁護士が早急に対応したことが相続による紛争予防の上で、ご依頼者様に大きな利益をもたらしたと思われます。 ご依頼者様も、遺言に関する紛争に明るく、フットワークの良い当事務所の弁護士にご依頼できたことを喜んでおられました。