この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
私は,携帯電話販売などを行うA社を経営していました。ところが,いわゆる裏カジノにはまってしまい,借金しては裏カジノにお金をつぎ込むという生活を続けてしまいました。また,お金が足りなくなると,友人にわずかな手数料を支払うだけで,友人に頼んで友人にローンを組んでもらって高級時計を買ってもらってはすぐにその時計を換金して裏カジノにお金をつぎ込むという生活を続けていました。これにより,個人として多額の負債を負っただけでなく,裏カジノに入れ込んでいたためにA社の経営も立ちゆかなくなりました。どのように対応したらよいのでしょうか。
解決への流れ
A社も多額の負債を抱えていて,民事再生などの手続をとることも不可能な状況にあったことから,A社について破産手続開始申立て,私について破産手続開始・免責許可申立てを行うほかありませんでした。依頼した弁護士に,私にとって有利な事情を記載してもらったこともあり,なんとか私について免責許可を得ることができました。
個人の破産手続は,基本的には免責を得る(借金を支払う責任を免れる)目的で利用されます。免責不許可事由がない限り免責されることとなっている一方で,免責不許可事由がある場合には裁量により免責させるのが相当という場合でない限り免責が不許可となるというのが破産法の建前となっています。もっとも,かなり悪質な免責不許可事由が認められる場合であっても,債権者から免責不許可にすべきという意見が出ない場合などには,申立人代理人が原雅基「東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情」(判タNo.1342(2011.5.1)4頁以下)などで記載された判断のための事情をうまく拾って申立人に有利な記載をすることで,免責を得られることができるときもあります。