この事例の依頼主
50代 女性
相談者様は、お母様とそのご友人を乗せたお車を運転中、赤色信号に従って停車したところ、後続車両に追突されるという被害に遭われました。事故後の警察対応や保険会社対応は、お母様とそのご友人が高齢だったこともあり、また、ご自身が運転手でいらっしゃったこともあって、相談者様ご自身が行われていました。事故態様が単純な後方からの追突事故であったこともあり、警察対応は問題なく終わられたものの、保険会社対応に不安を覚えられていました。事故後、それほど時間が経っていない時点において配偶者のことだったり、お子さんのことだったりを保険会社の担当者から聞かれ、また、「2週間で症状が変わらなければ病院を変えてください」などと言われたとのことでした。ご自身でもどのように対応したらいいのかわからない中で、ご高齢のお母様が対応できるかという点も不安に思っておられ、お母様におかれては娘様でいらっしゃるご相談者様に心配かけまいとご相談者様には「(体は)大丈夫だから」と言っており、事故の衝撃が大きいだけにお母様が十分治療に通えるかも心配に思っておられるということでした。そんな中、お知り合いに勧められ、弁護士費用特約にご加入されていたこともあり、ご相談にみえられました。このとき、お母様とその後友人ともご都合を合わせていただき、みなさま揃ってご相談にみえられました。事故に遭われてから2週間経っていない時点でした。
みなさま、初めて交通事故で弁護士に相談されるということだったので、まず、交通事故で被害に遭われた場合の流れについて特に弁護士目線でご説明をさせていただきました。その中で、相手の保険会社が治療費等の対応を行うのであれば、保険会社の担当者と連絡を取り合うのは不可避であること、その中で保険会社の担当者は損害賠償に関する情報を入手しようとしており、この対応次第では治療費等の賠償が満足に行われない可能性がありうること等を説明させていただきました。また、ご相談者様(娘様)が特にご不安に思われていたお母様における相手の保険会社との対応についても、やはり、最優先すべきはお怪我を直してもらうことであり、交通事故だから、とか、お嬢様にご負担がかかるから、といったことは通院をしない理由にはならないこと等のお話をさせていただきました。その他、みなさまからのご質問にお答えする形で法律相談は終了となり、みなさまから依頼したい旨のご意向を受け、受任し、みなさまの代理人として保険会社対応を進めることになりました。
もう1つ、ご相談者様がご不安に思われていたのはしっかりと治療ができるのか、ということでした。というのも、事故に遭われたあとご知人やご友人から「事故の治療は長引くからね」、「保険会社が打ち切りをしてくるよ」などと聞いており、ご不安に慣れていたのでした。もちろん、交通事故だから治療が長引く、交通事故ではないから治療が短期間で終了するということはありません。しかし、後続車両に追突されたような場合のお体への衝撃は通常生活していて受ける衝撃とは比較にならないほどです。その意味で、思ったよりも治療が長引くということはありうるのかなと思います。また、保険会社としても「賠償上相当な治療期間」があり、この点に齟齬があると治療の打切りがされることにもなりかねません。さらに、ご依頼者様の場合、懸念事項がありました。病院の先生のご対応です。ご依頼者は通院先で定期的に医師の診察を受けていましたが、ご依頼者様からの質問に対してはっきりと答えてくれることはなく、何を聞いても「わからない」、としか言われていない状況でした。この様な状況では被害者であるご依頼者様がご不安に思われるのもやむを得ないところがあろうかと思いました。そこで、事故から3か月程度経過した時点で病院に対して医師面談を申込み、医師、ご依頼者様(患者さん)と三者での面談を取り付けました。そこでの質問に対して、流石に何を聞いても「わからない」というまでの事はありませんでしたが、やはり、話が核心部分に及ぶとぼんやりとした回答しか辺ってこないという印象を受けました。この医師面談の結果については相手方保険会社の担当者とも共有し、病院側の態度をも勘案し、治療期間の検討については慎重に行っていただきたいと申し入れをしました。その後、相手方保険会社においても医療照会(文書)を実施したものの明確な回答は得られなかったとのことでした。その上で、保険会社の担当者と協議し、ご依頼者様のご意向に沿う治療期間で合意することができました。その後、ご依頼者様にはしっかり通院治療に専念していただき、後遺障害も残さずに治療を終えられました。最終的な保険会社との賠償交渉においても、慰謝料及び休業損害(家事従事者=主婦)をご依頼者様ご本人からの聞き取りその他の事情を丁寧に主張立証し、こちらもいわゆる裁判基準と遜色ない金額を任意交渉の段階で獲得することができました。交渉に少しお時間をいただいたこともあってご依頼者にはご迷惑をおかけしましたが、結果としては満足いただけたのではないかと思っています。