この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
相談者の父が危篤状態で、亡くなった後に遺産分割協議を進めていきたいが、相手方(姉)との折り合いが悪いため協議が円滑に進むとは思えないということで、どのように進めていけばよいのかを弁護士へ相談。相続開始前であったため一般的な遺産分割の方法や流れについて説明したが、父の相続財産が多岐にわたり、不動産も多く存在するため(40以上)、相手方との交渉を円滑に進めるため弁護士が相談者の代理人として交渉できることもご案内した。相談者の父が亡くなったとの連絡を受け、その後の対応について正式なご依頼をいただいた。
解決への流れ
ご依頼を受けた後、父の遺産だけでなく、祖父名義の一部の土地も未分割(遺産の協議ができていない状況)であることが分かり、依頼者へ対応の仕方について助言を行った。依頼者から父の相続財産に関する資料を受領し、それらを財産目録として一覧に整理した。その上で、不動産の分け方などについて依頼者と打ち合わせを重ねて、相手方と、別の2人の相続人との間で遺産分割協議を行った。協議の中で相手方からは、相談者に「特別受益がある」との主張もされたが、特別受益に該当しない理由を弁護士から丁寧に説明した(最終的に、相談者の特別受益はなし)。やはり多数の不動産の分け方について相手方との協議が難航し、協議開始から約11ヶ月の時間がかかったものの、最終的に相談者も納得できる条件で、相手方との遺産分割協議を成立させることができた。
遺産分割の協議(話し合い)が進まない(進みそうにない)場合には、早めに区切りをつけて、家庭裁判所での遺産分割調停に進むことをお勧めしています。遺産分割調停は、裁判所が選任した調停委員さん2名が間に入り当事者の話を聞いて、遺産分割の条件を話し合って決めていく手続きです。調停委員さんに間に入って話を聞いてもらうことで、対立点を整理でき、また、その対立点をどのように解決していくかの話し合いも、冷静に進められることが多いです。今回は、相談者の希望があって、遺産分割調停ではなく、遺産分割協議による解決を目指すことになりました。それでも、どうしても「協議で解決できない」という場合には、遺産分割調停の申立てをしなければならなくなります(もっと早く調停の申し立てをしておけばよかった・・・と後悔することもあります)。「なるべく早く相続問題を解決したい」という観点からは、「協議」にこだわりすぎない方がよいことも多いため、たとえば「いついつまでに、協議で解決できる見通しが立たなかったら、『調停』の申立てをする」など、協議の期限を決めておくこともお勧めです。遺産分割協議に不安や心配がある方は、基本的な知識からアドバイスもしていますので、安心して弁護士にご相談ください。