この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
離婚からしばらくして、突然1200万円に近い金額の財産分与を求める調停を起こされてしまった夫様からのご相談でした。ご相談の際には、こんな金額は到底払えない…なんとか分割にならないかと深刻なお悩みを抱えてご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
ご依頼後は、請求金額からは総額も大きく減額でき、月々の支払金額も現実的な水準で合意できたことで、将来の不安なくこれからのことを考えることができるとおっしゃっていただけました。離婚に至るまでのお話合いはご当人同士でされていたようですが、長きにわたるご夫婦間での争いが解決し、新しい人生への第一歩を力強く踏み出して行かれました。
かなり高額な分与の請求がなされた事例でしたが、丁寧に奥様側弁護士の作成した書面を検討すると、①不動産の評価額、②不動産の価値を上回る住宅ローン残額の扱い(オーバーローン部分の処理)、③退職金を財産分与とする場合の計算方法や支払時期など、様々な点で争いうる事案と見込まれました。そのため、調停において一つずつ丁寧にこちらの主張を記載し、裏付けとなる文献も積極的に提出するなどの弁護活動を行いました。その結果、裁判所からは、ほぼすべての争点でこちらの言い分通りの心証である旨の心証開示を得ることができ、調停を有利に進めることができました。また、勤続年数が長いことや退職時期が比較的近いなどの点から退職金自体を分与対象財産から除外することは難しい事案だったため、妻側主張額の半分程度まで減額できたものの、総額自体は大きな金額にならざるを得ない事案でした。そこで、分与対象財産の性質上、退職金など今すぐに現金化できるものではないことや、夫側の収入と想定される支出から現実的に支払い可能な毎月の金額などを積極的に主張し、数万円程度の分割支払いを提案しました。相手方からは、分割金額として10万円を超えるような水準の主張がなされるなどしましたが、粘り強く交渉し、またこちらも譲れるところは一定程度譲り、和解成立となりました。丁寧な主張立証が成果をあげ、裁判所の理解を得ながら調停を進めることができた事案として記憶に残る事案です。また、調停員さんからご依頼者様に対して、優秀な弁護士さんと出会えてよかったですねと言っていただくことができた点でも、大変印象深い事案となりました。