この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
福岡県在住のJさん(当時、派遣社員)は、友人との飲食費(遊興費)や生活費のために消費者金融やクレジットカード会社から借金をするようになり、借金の総額も約140万円に達しました。また、Jさんは、交通事故に遭って入院したこと等で勤務先を退職して無職になったため、借金の返済ができない状況になり、裁判所から書類(支払督促)が自宅に届いたことで、ご相談に来られました。ただ、Jさんの借金の原因の一部は、友人との飲食代(遊興費)だったので、免責不許可事由(浪費行為)にあたる可能性があることをご説明の上、自己破産手続きを行うことになりました。
解決への流れ
当事務所は、Jさんの借金の経緯や現在の生活状況(事故の後遺症で勤務先がうまく見つからないが、リハビリをしながら勤務先を探すなど労働意欲が強くある上、家族のサポートも期待できるので経済的更生の可能性が十分に認められること)等を詳細に聞き取って、自己破産申立書を作成しこれを裁判所に提出しました。また、Jさんには、今後は借金等は行わずに収入の範囲内で生活をしていくこと、債権者への謝意等を内容とする手書きの反省文を書いていただき、これを裁判所に提出しました。その結果、裁判所より同時廃止による破産開始決定を受けた後、無事に免責許可を受けることができました。
生活費を超える飲食費等の遊興費を原因とする借金を行った場合、一般的に免責不許可事由に該当するとされていますが(破産法252条1項4号)、遊興費による借金が借金全体に占める割合、反省の状況等によっては、今回のケースのように自己破産による免責決定を受けることができます。また、免責不許可事由が疑われる場合には調査のために管財人が選任されるケースが多くありますが、破産申立代理人側で綿密な聞き取り調査を行って報告書を提出することで、今回のケースのように同時廃止が認められる可能性もあります。借金の理由によっては家族に相談できずに一人で抱え込んでしまう方も多いかもしれませんが(今回のケースもたまたまご家族が裁判所から届いた書面(支払督促)を発見したことでご相談につながりました。)、早期に適切な債務整理手続きを行うためにも早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。