この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相続人は御依頼者様とお子様お2人でした。当初はお2人に連絡を取ることで話合いによって遺産分割協議書を作成しようとされていましたが、そのお子様の内のお1人と全く連絡が取れない状態が長く続いたことから、御依頼者様は途方に暮れて相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
ひとまずは弁護士からお2人の相続人に連絡をすることにして、お1人にはすぐに連絡がつき、手紙にも反応してくれましたが、もう1人とは弁護士から連絡をしても全く連絡がつかない状態がしばらく続きました。そのようなこともあり、遺産分割調停を申し立て、裁判所から、連絡がつかない相続人に対して呼出しをすることで遺産分割を実現させる方法を御提案して、御了解をいただきました。結果として、遺産分割調停の最後の期日(調停成立した日)になって連絡が全く取れなかった相続人の方がいらっしゃり、無事御依頼者様の御希望どおりに遺産分割が実現することになりました。御依頼者様は、その相続人とは会えなかったことを残念には思いつつも、調停の結果については御満足していただきました。
遺言がない相続では、全相続人が話合いで遺産の分配について合意し(遺産分割を行い)、遺産分割協議書を作成することで、不動産である遺産の移転登記や金融機関に対する預金債権の支払請求が可能となります。この全相続人間の合意できない場合に用意されているのが遺産分割調停の制度で、家庭裁判所で行われます。調停ですので当事者の話合いでことを決めることになり、一方にどうしても譲れない点があり、それを他方の相続人が受け入れられない場合には、調停不成立となり、裁判官による一方的な裁断である審判での解決となってしまいます。以上述べたとおり、分配する遺産についての合意の不成立が遺産分割調停へと相続人を動機づける事例が多いかと思いますが、本件事例はその事情が少し異なっていて、そもそも全相続人が一堂に会することすらできず、話合いすらできない状況の中で遺産分割調停を申し立てられました。御依頼者様は既に高齢となり、何十年もお子様と音信不通の状態でした。高齢のため御依頼者様が調停期日にいらっしゃることはなく、調停成立の日にいらっしゃったずっと連絡が取れなかったお子様と再会することは叶いませんでしたが、裁判所の調停が、長い間生き別れた親族と再会するきっかけともなり得ることを知っておいていただけましたらと思います。