この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
妻が子を連れ出した。その後、妻に連絡してもつながらない。子どもは自分になついていたため、子どもと会いたい。妻は離婚を考えているかもしれないが、仮に離婚となった場合に、自分が親権を争うつもりはないし、離婚しないにしても自分が監護者として主張するつもりはない。ただ、子どもにとって、父親の存在は大きいと思うので、子どものことを思えば、子どもに会えないというのは考えられない。
解決への流れ
相談後すぐに相手方が離婚調停を申し立ててきた。それに応じて、相談者側からは面会交流調停を申し立てた。調停期日、あるいは調停期日外でも相手方ないし相手方弁護士と面会交流条件について協議をしたが、なかなか条件が合わない。結局、調停では合意できず審判に移行したが、審判結果は相談者側で納得できる内容ではなかったので(特に面会の頻度が3ヵ月に2回、面会時間は2時間と決定されたことは納得できず)、即時抗告を申し立てた。抗告審では、これまでの申立人と子の面会交流において特に問題がなかったこと、その条件はあくまで最低限の条件を判断しただけで適切な頻度と時間を判断していないとし、さらに調査を尽くすべきとして、原審判を取り消し家庭裁判所に差し戻すとした。家庭裁判所では、再度調停により相手方と話し合うことになり、その結果、頻度は月1回、時間が4時間から6時間程度と決められた。ただし、具体的な実施頻度および実施時間については、子の体調、予定その他の状況等に配慮し、柔軟に当事者双方で協議することになった。
配偶者が子どもとともに家からいなくなって、連絡が取れないというケースはよくあります。連絡がとれても当事者だけでは感情的になって話し合いにならないケースも多いと思います。その場合には、例えば弁護士が入って相手と面会交流条件を調整することも考えられますし、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることも考えられます。調停を申し立てると、家庭裁判所では、調停委員が入って話し合いがなされますし、試行的な面会交流を実現したり、調査官が入って子の意向を調査する場合もあります。本来であれば、調停で合意できるのがよいとは思いますが、調停で合意できないと審判に移行して、裁判所が決めます。なお、その判断に不服があれば、即時抗告といって不服申し立て手段があります。