この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
運送業を営む相談者様(会社)の乗務員の1人が残業代が未払になっていると主張し、弁護士に相談へ行くとも言っています。当社では固定残業手当を支払っています。どのように対応するのが一番良いでしょうか。
解決への流れ
相談者様の就業規則(賃金規程含む)、賃金台帳、運転日報(タコグラフチャート紙含む)、タイムカードをお持ちいただき、人事担当者様からは賃金体系の聞き取りを、運行管理者様からは運転日報を見ながら意見交換して、未払賃金が生じているか検討しました。①賃金規程や賃金台帳から固定残業手当の性質(割増賃金の支払としての有効性)、②運転日報やタイムカードから正しい労働時間の認定を行ったところ、当該乗務員が主張するほどの未払賃金はないことが判明しました。上記調査の結果を踏まえて、正しい残業代との差額の支払、以後は定期的に残業代未払が無いかをチェックするという条件で、相談者様と当該乗務員のトラブルは解消に至りました。
従業員からの未払賃金請求は消滅時効の期間が2年から3年に伸長されたこともあり、適切な賃金体系が構築され、適切な労働時間の認定の下で割増賃金を支払っておかなければ、後に巨額の未払賃金請求を受けるリスクがあります。運送会社様では乗務員の労働時間は長くなる傾向にあるうえ、歩合給や固定残業代等各種手当の複雑な賃金体系になっていることも多く、近年、未払賃金請求を受けることが増加しているようです。日々の労務管理の積み重ねによりリスクは低減できますので、何か疑問点があればお早めに弁護士へ相談されてはどうでしょうか。