この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
依頼者は夫です。相手方である妻とは別居中で、妻が二人の子ども(高校生と中学生)と一緒に生活していました。夫婦のあいだで離婚することについは一致していたものの、慰謝料、財産分与、養育費等についてはかなり鋭い対立がある状況でした。また依頼者はお子さんとの関係が良かったため面会交流を強く希望されていましたが、ご依頼を受けた当時はコロナ禍のまっただなかで「不要不急」の移動がはばかられる時期だったという問題もありました。
解決への流れ
ご依頼をいただいて、当方から離婚調停を申し立てました。妻は夫婦の不和の原因が夫にあるという思いが強かったようで、調停のなかで、慰謝料の支払いを強く主張してきました。また財産分与や婚姻費用・養育費の金額についても強く主張を行ってきました。こうした主張に対して当方は当然反論を行うのですが、難しかったのは、こうした主張反論と並行して、面会交流の交渉もしなければならなかったことです。主張反論の最中は、当事者間にはただでさえ感情的なあつれきが生じやすいところ、加えて当時はコロナ禍であったため、面会交流の実現には二重に困難がありました。このため本件では、するべき主張は行うものの、できるだけ柔らかく穏やかな言葉遣いの書面で妻の説得を試みると同時に、面会交流についても、丁寧に粘り強い交渉を行いました。こうした努力が実り、慰謝料等の争点についてはおおむね当方の主張を通しつつ、これと並行して、かなり充実した面会交流も実現することができました。
争うべき点はきっちり争いつつ相手方との関係を悪化させないというのは、言うは易く行うは難しというところです。幸いこの件は、事件処理方針について依頼者の方から深いご理解をいただけたこともあり、ベストに近い交渉の進め方ができたのではないかと思います。