この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は複数名おり、一人が弊事務所から遠くない千葉県内在住だった。相続の相手は被相続人である父親より先に亡くなった長男の子どもたちであり、被相続人の居住地が離島であったため、離島の家庭裁判所が管轄裁判所となっていた。離島の裁判所の近くに弁護士が少ないうえに頻繁に相談に行けないため、弊事務所へ相談に訪れ、依頼を頂いた。離島までの交通費等は、長男以外の兄弟全員に依頼者になって頂き分担することで、費用負担を軽減できた。
解決への流れ
長男の子らが居住している被相続人の自宅の評価額が預貯金を上回っていたため、依頼者である他の兄弟は代償金を取得することで遺産分割の調停が成立した。調停期日ごとの打ち合わせは県内の依頼者だけ弊事務所に来所し、他の依頼者とはオンラインのアプリで打ち合わせに参加して頂いた。内容としては、長男の子らは、被相続人の療養看護を尽くしたことを根拠に代償金の支払いを拒否していたが、被相続人から入所していた施設から介護記録を取り寄せ、要介護の程度が低く、代償金の支払いを否定するほど長男の子らの介護の貢献がないことを立証し、代償金を満額取得できた。なお、介護施設は当初、依頼者からの介護記録の請求を拒否していたが、弁護士の介入により法的に拒否することの正当性がないことを書面で通知したうえで、介護記録の開示を受けられた。
遺産分割の調停の管轄は被相続人(亡くなられた方)の住所地の裁判所になります。そのため、相続人の方によっては、遠方になる場合もありますが、事例のように遺産分割についての意見が一致する複数の相続人の方から同時に依頼を受けることで、出張交通費等の負担を分担できます。また、被相続人の自宅の評価額が高いとそこに居住する相続人が単独取得を前提に法定相続分を大幅に超える強行な主張を続ける傾向があります。特に上記事例のように、他の相続人がみな、遠方に居住していると、頻繁に遠方の裁判所までは通えないと睨んでより主張が強行になりやすくなります。上記解決事例は弁護士の介入により、相手(長男の子ら)の主張を柔軟にさせた典型例であり、調停の裁判所が遠方であれば、なおさら、弁護士への依頼のメリットが大きいといえます。