この事例の依頼主
60代 男性
建築会社を経営されている社長のWさんからの遺言作成に関する相談事例です。Wさんは、一人職人として、長年下積みを経験した後に自分で会社を立ち上げて、約40年の間、会社の代表取締役として会社の経営を続けてきました。会社の株式については、ほぼ100%Wさんが保有しているということになります。Wさんは、体調を崩して入退院を繰り返していたことから、会社の存続のことを考えて、子供に事業を承継させる必要性を感じるようになりました。Wさんには、子供が4人おり、そのうちの二男に会社の事業を承継させたいと考えていましたが、Wさんが亡くなった場合に、Wさんの妻と子供4人で株式を相続するということになると株式が分散して会社の経営がうまくいかなくなるという状態でした。Wさんは、遺言を作成して会社の承継を円滑に進めたいとして、当職に相談に来られました。
Wさんには、建築会社の株式のほかに自宅の土地建物、預貯金、投資信託等がありました。そこで、遺言の作成をするにあたっては、会社の株式の過半数を二男に相続させ、その他の子供には、その他の財産を相続させる旨の遺言書を作成しました。会社の株式の評価額を出すと会社の株式が遺産の大部分を占める可能性がありました。そのため、他の子供たちから遺留分減殺請求をされると経営に影響が出てくる可能性がありました。そこで、遺留分減殺の順序を定めて、会社の株式の相続については遺留分減殺がなされても影響が出ないように配慮をしました。内容についても、あとで疑義が生じることになるとそれ自体がリスクなので、公正証書遺言を作成することにしました。遺言の執行の際にトラブルが生じないようにするためにも、弁護士を遺言執行者として指定するような内容にしておきました。
今現在、会社を経営をされている方の中には、自分に何かあった場合の会社のことについて悩まれている方がいらっしゃると思います。会社の事業承継については、予め決めておくことが一番です。今回当職が行ったように公正証書遺言を作成するのは一つの方法ですので、気になったかたは当職に相談をください。