犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #窃盗・万引き

【窃盗罪・万引き】窃盗の余罪が数件ある場合でも不起訴処分を獲得した事例

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

Aさんは、就職を目前に控えた大学4年生でした。就職先は既に決まっており、大学の単位もすべて取得していたことから、アルバイトをして卒業旅行の資金をためるというような生活をしておりました。Aさんは、旅行の資金をもっと簡単に稼ごうとして、古着屋に売っている値段が高いものを狙って、6着程度の古着(15万円程度)をもっていたトートバッグに入れて盗むということをしてしまいました。盗むことには成功しましたが、それを売りさばく手段としてネットのオークションサイトを使ったことから店の店員がそれを発見したことにより犯行がバレてしまうことになり、Aさんは逮捕されてしまいました。Aさんが逮捕されることによって、母親が就職のことや大学の卒業が大丈夫なのかという点について不安になったため、当職のところに相談にお越しになられました。

解決への流れ

当職は、今回のケースは、Aさんが前科・前歴がない初犯であることから、お店にきちんと被害弁済をすれば、不起訴になる可能性も高いという話をして、早急に弁護士を入れて被害弁済のためにお店と話しを付ける必要があるというお話しをしました。当職は、お母さまからの依頼を受けて、Aさんの弁護人に就任することになりました。就任後、さっそく、Aさんに接見に行ったところ、Aさんから聞いた話では、どうやら盗んだ商品を売却をしていたのは、今回のケースだけではなくて、同じサイトで盗んだ商品を売却をしてことが何度もあるということでした。古着屋だけではなくてドラッグストアやアクセサリーショップなどでも商品を盗みそれをオークションサイトでさばいていたとの話を聞きました。オークションサイトについては警察もすでに捜査をしていて、バレるのも時間の問題であるという話でした。当職としては、まずは、古着屋との示談をする必要があると考え、ご両親からAさんに15万円を貸し付けたという形にして、ご両親から15万円を預かり、古着屋の店長と示談の協議をしたところ、個人店舗で運営していたお店であったことから、被害をきちんと回復してくれるのであれば、示談をすることは拒否するつもりはないということで示談をすることができました。ただ、問題は、余罪の部分でした。ドラッグストアやアクセサリーショップにおいて盗んだ商品が特定されておらず、被害金額もどの程度であるのかわからなかったため、示談のために動きようがない状況であったからです。取り急ぎ、ドラッグストアに示談の話を持ち掛けたところ、コンプライアンス部門の方が窓口になってくれましたが「当社としては、万引き行為については厳しい対応をとっているため、最終的な刑事処分が決まるまでは示談に応じないことにしております。」という回答があり、示談には一切応じてくれませんでした。また、アクセサリーショップについても、同じような対応でした。Aさんは就職を控えており、このまま立件されることになれば、すでに決まった就職が危うくなること、大学から処分が下される可能性があったことから、なんとしてでも不起訴処分を得ることが必要な事案でした。当職は、本件事件の担当検察官に連絡を取り、贖罪寄付という方法をとってAさんとして罪を償いたいと考えているが、ドラッグストアーやアクセサリーショップの被害金額はどの程度なのかということを率直に尋ねたところ、検察庁としても具体的な金額を把握しているわけではなく、今となっては被害品や被害金額が特定できないため、この部分については起訴をするつもりはないという心証を開示されました。ただ、前科・前歴ではないものの、過去にも同じように商品を盗んで、ネットオークションで相当な金額分を売却をしているということが分かっている以上は、不起訴にするには相応の対応をとってもらう必要があるという話をされました。具体的な金額は明示されませんでしたが、10万円程度の寄付をすれば不起訴にしてもらえるとの感触を得たため、当職は、10万円をご両親に用意をしてもらい、10万円を贖罪寄付し、その報告書を検察官に提出しました。そうしたところ、Aさんは勾留満期の時点で処分保留で身柄を解放され、その後、不起訴処分とされることが決まりました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

窃盗罪などの経済事犯においては、早期に被害者との間で示談をすることや示談ができない場合には示談に代わる何らかの措置を早急に検討し、実施する必要があります。対応が遅れることによって、示談ができなくなってしまったり、示談が成立する前に刑事処分が決まってしまうことがあるので、早期に動くことが必要になってきます。示談をするにも被害者との交渉や交渉した結果得られたことを示談書に落とし込むなど法律の専門家が必要な場面は多数出てきます。本人が身柄拘束されている中でご家族が示談交渉をするなどということは事実上は不可能であろうかと思います。早期に弁護士に相談をして刑事事件の対応を委任することをお勧めします。