この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
夫が、ある時から急に怒りっぽくなって私や子供を罵倒したり、無断外泊をしたりするようになったため、別居し、時々私が家の掃除等をしに行く生活をしていました。そうしたところ、ある日、たまたま開きっぱなしになっていたパソコンのメールボックスに、夫と、知らない女性との間でやり取りした、熱烈な愛の言葉を書き連ねたメールや、親密そうにしている写真があるのを見つけました。そのため、夫の様子が急変した原因が、この女性との不倫であるらしいことがわかりましたが、この先どうしたら良いかわからず、弁護士に相談しました。
解決への流れ
夫の不倫相手らしき女性の素性が全くわからなかったのですが、夫の携帯電話の通話料金明細等から、頻繁に連絡を取っている番号を絞り込み、弁護士会照会によって契約者名を調べてもらったところ、メールに書かれている名前と一致したことから、相手方の特定ができました。そこで、この女性に対し、不貞慰謝料請求の訴訟を提起しましたが、怪しいメールや写真がたくさんあるにもかかわらず、一審の裁判官は、相手方の「既婚者だとは知らなかった」という言い分を鵜呑みにし、メールや写真についても、「これだけで肉体関係があったとは言えない」と認定し、まさかの敗訴でした。しかし、控訴審で、より一層、証拠について説得的に論じていただいたことにより、不貞関係が認定され、請求額の一部について、認容判決を得ることができました。
本解決事例は、証拠の内容は同一であるにもかかわらず、一審では不貞関係は認められないとされ、控訴審では認められたという、正反対の結論が出た事例です。不貞事件の場合、証拠になりそうなメールや写真等があっても、明らかに肉体関係があると認められる内容のものは別として、そこまではわからないけれど、怪しい・・・というものについては、不貞の証拠たり得るかどうか、一般の方には判断に迷われるケースが多々あると思います。そういった場合に、インターネットで得た断片的な知識で安易に判断したりせず、まずは弁護士にご相談いただくことが重要です。証拠それ自体のみを見て判断するのではなく、事案の経緯や背景事情等も伺った上で、ご相談者様の利益を最大限実現するのに適した戦略を立ててまいります。