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中高生アイドルの「握手会」は現代版「女工哀史」ではないか?
2013年05月17日 12時00分

「握手会」は、もはやアイドル文化を語るうえで無視できないイベントになった。AKB48をはじめ、多くのアイドルグループがCDリリースなどのタイミングに合わせて各地で行なっている。大規模な握手会になると、ほとんど一日がかりで行われる場合もある。人気メンバーともなればほぼ立ちっぱなしで、一日に数百人以上と握手しなければいけないという。

アイドル側からしてみれば、ファンの大半は不特定多数の異性だ。彼らに向かって愛想を振りまきながら、場合によっては二言三言のやりとりもしなくてはならないため、頭は終始フル回転を強いられる。いくらプロとは言え、緊張もするだろう。

実際この握手会、アイドル本人にとってはかなりキツイお仕事のようで、途中で体調不良を訴えて退席してしまう例も後を絶たない。こんな過酷な握手会に、未成年の中高生アイドルを参加させることは「児童虐待」にあたらないのだろうか。

アイドルグループによっては10代半ばのメンバーが中核になっているところもある。年端もいかぬ児童が後から後から押し寄せる人の波をさばいていく姿は、現代版の「女工哀史」と言えるのではないか。コンサートに同行するなど、芸能人の法的サポートを請け負う太田純弁護士に聞いた。

●「虐待」と言えるかどうかは、現場の状況を詳しく見て、一つ一つ判断するしかない

まず、このような握手会は、児童虐待に当たるのだろうか。

太田弁護士は「一般論で語るのは『微妙』です。一概には断定できません」と指摘する。

「児童虐待防止法の定義によると、児童虐待は、(1)身体的虐待(2)性的虐待(3)ネグレクト(育児放棄)(4)心理的虐待の4つに分類されています。握手会の実態がこれらに該当していれば『虐待』といえますが、実際に判断するためには、それぞれの握手会で児童がどんな働き方をさせられていたかを、詳細に見ていくしかありません」

では、一般的に未成年のアイドルを働かせる場合、雇用側が守るべきルールとは?

「未成年のアイドルに関しては、労働基準法や児童福祉法の観点から、十分な注意を払う必要があります。アイドルやタレントは、所属事務所との契約のありかた次第では『個人事業主』として、労働基準法の対象にはならないとみなされていますが、働き方の実態によっては実質的に『労働者』と認められる場合もあるからです」

●児童福祉法は「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって、自己の支配下に置く行為」を禁止している

太田弁護士によると、労働基準法は未成年者の就業時間を特に細かく制限している。また、児童福祉法34条1項9号は、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって、自己の支配下に置く行為をしてはならない旨を定めている。この規定は、2004年までは「児童と雇用主の間に正当な雇用関係」があれば適用除外とされていたが、改正後はその行為ひとつひとつについて、有害かどうかを客観的に判断することになったという。

加えて、アイドルとの間で労働契約や専属実演家契約(タレント契約)を結んでいる事務所側は「契約上の義務」も負っている。太田弁護士は「事務所側には『安全配慮義務』があります。もし事務所側が配慮を怠ったせいで、握手会の際にアイドルが危険な目に遭った場合、事務所がアイドルに損害を賠償しなければならないということです。」と強調する。

太田弁護士は「握手会の現場ではアイドルがくたくたになったり、苦痛を感じることもあるでしょうし、場合によっては危険が発生するケースもあり得るかもしれません。主催者や事務所、アイドル本人の三者が、事前によく話し合ったうえで、楽しく安全なイベント作りを心がけていただきたいと思います」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

「握手会」は、もはやアイドル文化を語るうえで無視できないイベントになった。AKB48をはじめ、多くのアイドルグループがCDリリースなどのタイミングに合わせて各地で行なっている。大規模な握手会になると、ほとんど一日がかりで行われる場合もある。人気メンバーともなればほぼ立ちっぱなしで、一日に数百人以上と握手しなければいけないという。

アイドル側からしてみれば、ファンの大半は不特定多数の異性だ。彼らに向かって愛想を振りまきながら、場合によっては二言三言のやりとりもしなくてはならないため、頭は終始フル回転を強いられる。いくらプロとは言え、緊張もするだろう。

実際この握手会、アイドル本人にとってはかなりキツイお仕事のようで、途中で体調不良を訴えて退席してしまう例も後を絶たない。こんな過酷な握手会に、未成年の中高生アイドルを参加させることは「児童虐待」にあたらないのだろうか。

アイドルグループによっては10代半ばのメンバーが中核になっているところもある。年端もいかぬ児童が後から後から押し寄せる人の波をさばいていく姿は、現代版の「女工哀史」と言えるのではないか。コンサートに同行するなど、芸能人の法的サポートを請け負う太田純弁護士に聞いた。

●「虐待」と言えるかどうかは、現場の状況を詳しく見て、一つ一つ判断するしかない

まず、このような握手会は、児童虐待に当たるのだろうか。

太田弁護士は「一般論で語るのは『微妙』です。一概には断定できません」と指摘する。

「児童虐待防止法の定義によると、児童虐待は、(1)身体的虐待(2)性的虐待(3)ネグレクト(育児放棄)(4)心理的虐待の4つに分類されています。握手会の実態がこれらに該当していれば『虐待』といえますが、実際に判断するためには、それぞれの握手会で児童がどんな働き方をさせられていたかを、詳細に見ていくしかありません」

では、一般的に未成年のアイドルを働かせる場合、雇用側が守るべきルールとは?

「未成年のアイドルに関しては、労働基準法や児童福祉法の観点から、十分な注意を払う必要があります。アイドルやタレントは、所属事務所との契約のありかた次第では『個人事業主』として、労働基準法の対象にはならないとみなされていますが、働き方の実態によっては実質的に『労働者』と認められる場合もあるからです」

●児童福祉法は「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって、自己の支配下に置く行為」を禁止している

太田弁護士によると、労働基準法は未成年者の就業時間を特に細かく制限している。また、児童福祉法34条1項9号は、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって、自己の支配下に置く行為をしてはならない旨を定めている。この規定は、2004年までは「児童と雇用主の間に正当な雇用関係」があれば適用除外とされていたが、改正後はその行為ひとつひとつについて、有害かどうかを客観的に判断することになったという。

加えて、アイドルとの間で労働契約や専属実演家契約(タレント契約)を結んでいる事務所側は「契約上の義務」も負っている。太田弁護士は「事務所側には『安全配慮義務』があります。もし事務所側が配慮を怠ったせいで、握手会の際にアイドルが危険な目に遭った場合、事務所がアイドルに損害を賠償しなければならないということです。」と強調する。

太田弁護士は「握手会の現場ではアイドルがくたくたになったり、苦痛を感じることもあるでしょうし、場合によっては危険が発生するケースもあり得るかもしれません。主催者や事務所、アイドル本人の三者が、事前によく話し合ったうえで、楽しく安全なイベント作りを心がけていただきたいと思います」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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