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道路標識のほうが「ルール違反」 まちがって摘発された「ドライバー」の救済は?
2013年06月27日 14時30分

警視庁はこのほど、都内2カ所で誤った道路標識にもとづいて交通取り締まりをおこない、道交法違反容疑で300件以上の不適切な「摘発」を行っていたことを発表した。

各社報道によると、東京都府中市の市道には「最高時速30キロ」という標識があったが、この標識は本来必要な都公安委員会の指定を受けていなかった。警察は09年8月から13年2月にかけて、この標識にもとづいてスピード違反335件を検挙、うち45人が免停などの行政処分を受けた。罰金は合計約500万円にのぼるという。

また、東京都中野区の都道交差点にある自転車横断帯も都公安委員会の指定を受けておらず、こちらに関しては07年1月~13年1月にかけて28件の摘発、罰金約20万円の徴収があった。警視庁交通規制課は「違反など行政処分は取り消し、罰金も返還する」としている。

しかし、免停などの処分を受けたとすれば、そのあいだは車を運転できなかったり、ほんらい必要なかった講習にかよう必要がでるなど、単に取り消しだけでは回復できない「損害」が出ているのではないか。標識そのものは、後から指定されたというが・・・・。こういった場合、「損害」はどこまで補償されるのか、宮武洋吉弁護士に聞いた。

●賠償はありえるが、「額」については相当厳しいだろう

「まず前提ですが、道路標識が効果を持つためには、公安委員会が指定する必要があります。それがなければ今回のケースのように『無効』です。

速度規制がない場合は、道交法上、一般道の最高速度である時速60キロが上限になります。それ以上出していたら標識がなくても違法です。

つまり今回の場合、時速60キロ未満だった場合の摘発は、違法で無効となります。『本来なら』、時速30キロ制限の場所ですから、時速60キロを超える違反はほとんどなかったでしょうね」

――では、国から賠償してもらえる?

「はい。『運転者が被った損害』については、違法な取り締まりを行った警視庁(東京都)に対し、国家賠償法に基づく損害賠償請求を行うことができます」

――どんな『損害』が認められる?

「今回の場合、罰金などは訴訟をせずとも返金されるようですね。主に議論になりそうなのは、違法な免許停止処分を受け、自動車の運転ができなかった期間の損害でしょう。

たとえば、自動車が運転できたとすれば支出の必要がなかった交通費や、払った講習費用、自動車を営業に使用していたなら営業損害なども考えられます。これらは損害賠償請求できる対象に含まれるでしょう」

――認められる範囲が、思ったより広そうだ。

「ただ、実際に裁判で請求した場合、裁判所は相当厳格な判断をしてくると予想されます。たとえば、ひとつひとつの出費について『免停処分との因果関係があるか』『代替手段がなかったか』といったツッコミが入るでしょう。結果として請求額よりも、賠償額はかなり減らされる可能性があると思います」

なるほど救済はあるようだが、それを受けるために結構な手間がかかりそうな気配がする・・・・。そもそも今回は行政側のミス。「被害者」の手間をかけない、スムーズな決着が求められているのではないか。

(弁護士ドットコムニュース)

警視庁はこのほど、都内2カ所で誤った道路標識にもとづいて交通取り締まりをおこない、道交法違反容疑で300件以上の不適切な「摘発」を行っていたことを発表した。

各社報道によると、東京都府中市の市道には「最高時速30キロ」という標識があったが、この標識は本来必要な都公安委員会の指定を受けていなかった。警察は09年8月から13年2月にかけて、この標識にもとづいてスピード違反335件を検挙、うち45人が免停などの行政処分を受けた。罰金は合計約500万円にのぼるという。

また、東京都中野区の都道交差点にある自転車横断帯も都公安委員会の指定を受けておらず、こちらに関しては07年1月~13年1月にかけて28件の摘発、罰金約20万円の徴収があった。警視庁交通規制課は「違反など行政処分は取り消し、罰金も返還する」としている。

しかし、免停などの処分を受けたとすれば、そのあいだは車を運転できなかったり、ほんらい必要なかった講習にかよう必要がでるなど、単に取り消しだけでは回復できない「損害」が出ているのではないか。標識そのものは、後から指定されたというが・・・・。こういった場合、「損害」はどこまで補償されるのか、宮武洋吉弁護士に聞いた。

●賠償はありえるが、「額」については相当厳しいだろう

「まず前提ですが、道路標識が効果を持つためには、公安委員会が指定する必要があります。それがなければ今回のケースのように『無効』です。

速度規制がない場合は、道交法上、一般道の最高速度である時速60キロが上限になります。それ以上出していたら標識がなくても違法です。

つまり今回の場合、時速60キロ未満だった場合の摘発は、違法で無効となります。『本来なら』、時速30キロ制限の場所ですから、時速60キロを超える違反はほとんどなかったでしょうね」

――では、国から賠償してもらえる?

「はい。『運転者が被った損害』については、違法な取り締まりを行った警視庁(東京都)に対し、国家賠償法に基づく損害賠償請求を行うことができます」

――どんな『損害』が認められる?

「今回の場合、罰金などは訴訟をせずとも返金されるようですね。主に議論になりそうなのは、違法な免許停止処分を受け、自動車の運転ができなかった期間の損害でしょう。

たとえば、自動車が運転できたとすれば支出の必要がなかった交通費や、払った講習費用、自動車を営業に使用していたなら営業損害なども考えられます。これらは損害賠償請求できる対象に含まれるでしょう」

――認められる範囲が、思ったより広そうだ。

「ただ、実際に裁判で請求した場合、裁判所は相当厳格な判断をしてくると予想されます。たとえば、ひとつひとつの出費について『免停処分との因果関係があるか』『代替手段がなかったか』といったツッコミが入るでしょう。結果として請求額よりも、賠償額はかなり減らされる可能性があると思います」

なるほど救済はあるようだが、それを受けるために結構な手間がかかりそうな気配がする・・・・。そもそも今回は行政側のミス。「被害者」の手間をかけない、スムーズな決着が求められているのではないか。

(弁護士ドットコムニュース)

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