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木村花さん死去で「中傷加害者」から弁護士への相談急増「軽い気持ちだった」「心配になってきた」
2020年05月31日 09時26分

恋愛リアリティー番組『テラスハウス』の出演者だった女子プロレスラー木村花さんが5月23日に死去したことを受け、ネットの誹謗中傷などに対して、法的措置も辞さないことを示唆する有名人が増えている。

こうした中、自身の書き込みに不安を覚えた「中傷経験者」からの弁護士への相談件数も急増しているようだ。

弁護士ドットコムにも23日以降、「この内容は名誉毀損になるか」「書き込みから時間がたっているが、特定される可能性はあるか」といった投稿が10件以上寄せられている。

恋愛リアリティー番組『テラスハウス』の出演者だった女子プロレスラー木村花さんが5月23日に死去したことを受け、ネットの誹謗中傷などに対して、法的措置も辞さないことを示唆する有名人が増えている。

こうした中、自身の書き込みに不安を覚えた「中傷経験者」からの弁護士への相談件数も急増しているようだ。

弁護士ドットコムにも23日以降、「この内容は名誉毀損になるか」「書き込みから時間がたっているが、特定される可能性はあるか」といった投稿が10件以上寄せられている。

●「軽い気持ちで投稿してしまった」

ある男性は、地域密着型の掲示板に知人を誹謗中傷する書き込みをしてしまったという。

「軽い気持ちで投稿してしまい、反省しております。ただ、金銭的な余裕がなく、このまま他の投稿に埋もれてくれればと考えています。本人が気づいて、ログから自分が特定されないか不安です」

同じく特定リスクを気にする別の男性は、誹謗中傷を書き込んだ心理について、次のように弁解している。

「お恥ずかしい話ですが、当時は名誉毀損などのリスクがまったく頭になく、興味本位で書き込みに参加してしまいました」

有名人相手ということだと、こんな相談も。ある女性は「自分の投稿ではない」と断わりつつ、女性芸能人に寄せられた次のツイートが法的に問題にないかを尋ねている。

「男好き。男に媚びてる。整形。そんなに男が好きならファンとセックス会でもしてろ」

これは侮辱にあたる可能性がありそうだ。

●弁護士「木村さんのニュースの影響感じる」

YouTuberとしても活躍する藤吉修崇弁護士のもとにも、23日以降、同種の相談が増えているという。

「書き込んだ側からの問い合わせ自体は普段からあるんですが、ググっと増えました。木村さんのニュースが世間に与えた影響は大きいなと感じました」

ネットの誹謗中傷事件を「イヤというほど」扱ってきたという藤吉弁護士。「加害者」に対しては、「本当になんでそこまで書いてしまったんだという思いはありますね」と苦言を呈する。

●感想・意見を投稿「訴えられるかも」と不安に

一方、言論が制限されることも危惧しているという。

たとえば、弁護士ドットコムに寄せられた投稿にこんなものがあった。

ある女性は、『テラスハウス』で木村さんのアンチが増えるきっかけとして指摘されている「コスチューム事件」について、以下のような投稿をしたそうだ(実際の投稿では、A・Bに実名が入っていたとみられる)。

「Aさんも悪いところがあるけど、Aさんが逆の立場だったら怒らないと思います。私はAさんの優しいところに魅力を感じます!

でもBさんが大切な物だったので気持ちも分かりますが。。」

女性の書き込みが、本当にこの通りだったのなら、意見や感想にすぎず、なんの問題もないはずだ。

しかし、女性は「訴えられないか不安になってきました」「意見なのか、これも中傷になるのか悩みました」と記している。

報道やSNS世論によって、萎縮効果が起きていることを感じさせる。

●誹謗中傷の範囲が広がれば、言論萎縮の恐れも

このほか、言われた側はたまったものではないだろうが、

「スポーツ選手に下手くそと書き込んだ」
「食事をしたおそば屋さんの味が悪く、店員の態度も不快だったので、口コミサイトで星1つの評価をした」

といった投稿もあった。

「あまりにも誹謗中傷の範囲を広げてしまうと、自由な意見交換の場としてのネットがなくなってしまう。

批判・批評の範囲におさまるものもあるだろうし、ネガティブな意見がないと口コミサイトとしての価値はない。そこが萎縮してしまうとネットの機能が失われてしまう」(藤吉弁護士)

●「正当な批判なら良いのか」問題

他方で、正当な批評・批判だったとしても、量が圧倒的に多かったり、本人に直接向けられたものだったりすれば、当事者にとって大きなストレスやプレッシャーになることが容易に想像できる。

こうした複雑さを考えると、法律やシステムでの対応にも限界がありそうだ。当たり前の話だが、ユーザーの意識が重要になってくる。

「少なくとも、厳しい意見をいう以上は名前を出しても言えるのか、というのは書く上での判断材料にしてほしい」と藤吉弁護士は語る。

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